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導入事例

大手ワイシャツメーカーがこだわった
“メインフレーム級”の信頼性、最新ストレージはどう応えたか

企業の競争力を生み出す業務アプリケーションの信頼性を高めるにはどうすればいいのか。フレックスジャパンが推進した“メインフレーム級”の信頼性を誇るストレージ製品の導入を紹介する。

メインフレームと聞くと、どうしても「古い」「レガシー」というイメージを反射的に思い浮かべる方が多いかもしれない。しかし実のところ、メインフレーム技術は今でも現役バリバリである。特に製造業においては、古くから脈々と受け継いできたメインフレーム資産の中に、自社の強みやノウハウがぎっしり詰まっていることも多く、これらを今でも競争力の源泉として運用し続けている企業が多い

そんな企業にとって、メインフレーム資産を継続利用できる環境は、ある意味ビジネスの存続を左右するほどの重要事項だ。しかも、単にメインフレーム資産が動作すればいいというわけではなく、ハードウェアを更新し続けながらも、常にメインフレーム同等の高信頼性を担保し続けなくてはいけないのだ。

まさにこのようなメインフレーム資産の活用方法を武器に、ビジネスを成長させ続けているのが、長野県千曲市に本社を置く老舗のワイシャツメーカー、フレックスジャパンだ。同社は40年以上前から今日に至るまで、メインフレーム資産のアップデートを続けながら日々業務プロセスを進化させ続けている。同社のIT戦略を裏で支えているのが、ストレージ製品と、地元長野に根付いたシステム構築パートナー企業の存在だという。

フレックスジャパンのワイシャツ製品

自社開発のメインフレーム資産で他社との差別化を図る

長野県千曲市に本社を構えるフレックスジャパンは、日本国内ワイシャツ市場の2割以上のシェアを占める、日本を代表するワイシャツメーカー。同社の歴史は古く、創業は1940年にまでさかのぼる。また業界でもいち早くコンピュータを導入したことでも知られ、1966年に富士通製メインフレームを導入して以降、基幹業務をシステム化してきた。
 しかも、メインフレームで稼働する基幹システムの開発は、外部のメーカーやSIer(システムインテグレーター)に委託せず、全て社内で行ってきた。フレックスジャパン システム部 システム推進室 責任者 アシスタントリーダー 荒井武雄氏によれば、こうした開発方針には同社の経営方針が色濃く反映されているという。

長野県千曲市のフレックスジャパン本社

「アパレル業界では、毎年のシーズンごとにトレンドが移り変わるため、それらを素早く先取りして対応していかなくてはいけません。従って、経営層の意思決定が現場にスピーディーに反映されなければならないのです。システムの開発や改修を外部に委託していてはこうしたスピード感は実現できないため、基幹システムに関しては自社開発にこだわり続けています」

同社はアパレル業界では珍しく、本社機能と工場、そして物流拠点が1カ所にまとまっている。そのため、システム開発担当者が商品の企画から設計、生産、在庫、出荷、そして受注販売に至るまで、あらゆる業務のニーズを現場で直接把握し、いち早くシステムに反映させることができる。こうして他社に先駆けて、基幹業務のプロセスをビジネス環境の変化に合わせて素早く、柔軟に対応させてきたことが、今日の成功につながったのだという。

こうして、長年の間に進化を遂げてきた同社のメインフレーム資産は、40年以上にわたり一貫して富士通製のメインフレームを使ってきた。その間、約5年ごとにハードウェアをアップグレードし続けてきたが、どの時期においても極めて高い安定性を発揮してきたという。

「私が記憶する限りでは、一度も大きなトラブルを経験したことがありません。他社のメインフレームや、オープン系プラットフォームへの移行の話が全くなかったわけではありませんが、移行にはコストやリスクがつきものです。それ以上に富士通のメインフレームの信頼性が極めて高かったことが、これだけ長きにわたり使い続けてきた最大の理由です」(荒井氏)

もう1つの理由が、システム構築(SI)パートナー企業であるソレキアの存在だった。ソレキアは東京都に本社を置くSIerだが、古くから長野に拠点を構え、現地企業に手厚いSIサービスを提供してきた。富士通のパートナー企業である同社は、フレックスジャパンのメインフレーム環境も手掛けてきた。荒井氏も、ソレキアのSIサービスに対しては全幅の信頼を置く。

 「付き合いが古く、弊社の業務について熟知していますので、常に的確な提案やきめ細かいサービスを提供していただいています。また、何でも気軽に相談できるので、普段から何かと頼りにしています」

フレックスジャパンの荒井 武雄氏

メインフレーム環境からの移行にも耐える「ETERNUS DX80 S2」

そんなフレックスジャパンでは、2014年にメインフレーム資産の稼働環境を大幅刷新し、IAサーバ上でメインフレームシステムを稼働させる環境に移行したのだ。ここで採用したのが、富士通製のミッションクリティカル向けオープン系サーバ「FUJITSU Server PRIMEQUEST」だった。同製品はメインフレーム同等の高信頼性を備えているだけではなく、「OSIV/XSP動作機構」を適用することでIntelアーキテクチャ上で今まで使ってきたメインフレームのアプリケーションをそのまま稼働することができる。

こうしたアーキテクチャ変更について、荒井氏は「OSが変わるわけではないので、特に不安はありませんでした」という。しかしもう1つ、大きなアーキテクチャ変更があった。それが、ストレージ環境である。従来は、基本的にメインフレームの一部として実装された記憶領域を使っていたが、PRIMEQUESTに環境を移行したことに伴い、初めて外付けの共有ストレージ装置を使うことになったのだ。

言うまでもなく、メインフレームのディスク装置はあらゆるコンポーネントが二重化され、そしてデータ保護のための仕組みが幾重にも施され、鉄壁ともいえる信頼性を誇る。これと同等の信頼性を汎用ストレージ製品で実現するとなると、簡単にはいかないと思われがちだが、この点についても荒井氏は「特に懸念はありませんでした」という。

というのは、今回PRIMEQUESTと組み合わせた富士通製のストレージ装置「FUJITSU Storage ETERNUS DX80 S2」は、汎用ストレージ装置としては際立った信頼性を持つからだ。コントローラー、電源といった主要なコンポーネントは二重化されており、また万が一の故障発生時にもシステムを停止することなくコンポーネントの交換が可能なため、極めて高い信頼性を誇る。また、本格的な故障に至る前に、その予兆を検知して問題のあるディスクを自動的に切り離してホットスペアディスクと入れ替えるなど、自律的なデータ保護機能も備えている。

こうした製品自体が持つ高い信頼性に加え、安定した稼働を支えるメーカーサポートや運用サービスの存在も大きかった。富士通は全国にサポートサービス網を持ち、万が一の製品故障の際には迅速にCE(カスタマーエンジニア)が現地に駆け付けることができる体制が整っている。

さらに、富士通製ストレージの導入・運用に多くの実績を持つソレキアも、長野支店にSE(システムエンジニア)を多くそろえ、いつでも現地に急行可能だ。このサポート力もETERNUS DX80 S2の安心感をさらに裏打ちしたという。事実、メインフレームからPRIMEQUEST+ETERNUS DX80 S2へのシステム移行は、ソレキアの全面的な支援により、極めてスムーズに完了した。

今後の業務プロセス改革においても重要な基盤に

加えて同社は、今回のシステム刷新に合わせ、クライアントPCやスマートデバイスとメインフレーム環境との間を結ぶエミュレータ「FUJITSU Software WSMGR for Web」を新たに導入した。これにより、端末からWebブラウザを使ったホスト接続が可能になり、スマートデバイスの業務利用の可能性が広がったという。

「現在、工場の生産現場に渡す作業指示書などは紙を使っていますが、WSMGR for Webは画像を扱うことができるので、電子化した作業指示書をスマートデバイスで参照するような仕組みの実現を目指しています。また、受注の受付や入力などにも、スマートデバイスが活用できるのではと考えています」(荒井氏)

こうした取り組みは、単に現場の業務改善だけにとどまらず、同社の今後のビジネス戦略の根幹を担う重要な施策なのだと荒井氏は述べる。

「弊社のビジネスモデルも、かつての大量受注/大量生産から多品種/少量生産へと移り変わり、さらに近年ではオーダー生産にも力を入れ始めています。こうしたビジネスモデルを効率よく回すためには、受注から生産現場への生産指示に至るまでのプロセスを極力効率化しなければなりません。この点においては、まだまだシステム改善の余地が多く残されています。スマートデバイスの活用はその一環ですが、こうした仕組みを実現する上でも、高信頼なETERNUS DX80 S2のストレージ環境を導入したことは大きな意味があると考えています」

本記事は、アイティメディア社のTechTargetジャパンに掲載された記事を許可を得て転載しております。
・出展元:TechTargetジャパン
・記事公開日:2015年03月20日
・記事タイトル:大手ワイシャツメーカーがこだわった“メインフレーム級”の信 頼性、最新ストレージはどう応えたか
・記事URL:https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1503/20/news04.html

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